【おすすめ本のポイントまとめ】『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』

読書について 教養

ヤニス・バルファキスの『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を読んだので、ほんの一部分をネタバレにならない範囲で紹介します!

こんな人にオススメです。
  • 経済について知りたい人
  • 数字や専門用語が苦手な人
  • 幸せの基準を知りたい人

「この本の執筆は、楽しい作業だった。脚注も参考文献もつけず、学術論文の作法も気にせずに書いたのは、この本が最初で最後だ。」(本文引用)

と著者・バルファキスが言っているように、経済の本なのに「資本」や「資本主義」といった単語が全く使われていません。本当に堅苦しくなくて、わかりやすいです!

物語に出てくるのは「羊飼い」や「タイムトラベラー」など。銀行も「黒魔術」を使ったり、捕虜収容所のタバコのやり取りだったり、簡単な例で資本主義の仕組みを理解できました!

ポイントと作者の名言を下にまとめてあるので、あらすじが必要ない方は目次からどうぞ↓

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あらすじ

Amazonではこう紹介されています。

◎現代の世界はどんな「仕組み」で動いているのか
◎なぜ一部の人たちだけに「富」が集中するのか
◎「経済危機」の裏に隠れているものは何か

「資本」や「資本主義」という言葉を使わずに経済を語ったら、とんでもなく本質がわかるようになった!

経済の本なのに「一気に読める」「ページをめくる手が止まらない」と話題沸騰!読み終えた瞬間、世界が180度変わって見える!

元財務大臣の父がホンネで語り尽くす!シンプルで、心に響く言葉で本質をつき、世界中で大絶賛されている、究極の経済×文明論!

1万2000年前、人々が農耕をはじめると、農作物に『余剰』が出るようになりました。
その『余剰』が鍵となって、富、文字、債務、通貨、国家、官僚制、軍隊、宗教が生まれ、現代に至ります。

文明のはじまりから、最近のビットコインの話題まで、人類の進歩と資本主義のすべてが説明されています。

ポイント

  • すべての持ち物が商品になる
    「労働力」を売らざるをえない生活。
  • お金を生み出す方法
    『借金』が市場社会のはじまり。
  • 経済学は多くの人を信じ込ませるためのウソ
    支配者のための筋書き。

この本を理解するのに役立つ、以上の3点について説明します。

1、すべての持ち物が商品になる

「労働力」を売らざるをえない生活。

農民たちは、先祖代々からの土地や家に住み、農作物をつくって食べて、税を納める封建的な生活を送っていましたが、領主によって家も土地も何もかも取り上げられたので、唯一の持ち物である「労働力」を売らざるをえない生活になりました。

商品になったモノ
「労働者」
「手段(機械など)」
「土地」

これまで売り物になることはなかったこれらのモノが、売られるようになった流れはこうです。

船を使ってグローバルな貿易が始まると、世界では農作物より羊毛が売れる!

領主「農民たちを土地から追い出し、そこで羊を飼おう!」

農民たちは家を失い、労働市場に参加せざるをえなくなった。

行き場を失った農民たちは、蒸気機関の発達と合わせて、みんな工場で働くようになり、土地や建物、更には自分の働く力さえ商品になってしまう社会が誕生します。

こうして地球上の隅々にまで、じわじわと資本主義は染み渡っていきます。

2、お金を生み出す方法

『借金』が市場社会のはじまり。

お金を生み出す方法。それは、あなたの通帳残高に0をいくつか書き加えるだけです。(本文要約)

「そんなはずない!」と思うかもしれませんが、これは資本主義社会の基本である『借金』のことです。私たちの資本主義社会では、この不思議な魔法が使われ続けています。

『借金』が資本主義の前提であるというのは、以下の流れで説明されています。

領主から土地を借りて、羊を買って、事業を経営しよう!

羊が育つまで売上がないので、領主への土地代や、働き手への賃金のためのお金が、前もって必要になる。

『生産→年貢を納める』流れから、
『年貢を納める約束(借金)→生産』の流れに逆転した。

このように「起業家はタイムトラベラー」と本書で例えられるように、起業家は未来に利益を上げることを約束し、前もって”未来から”お金を引き出しているも同然です。

そして未来の売上への信頼を担保に、銀行は通帳に”0″を加えることによって、どこからともなくお金を生み出します。

それは「銀行があまりにも簡単にお金を作り出すことができて、恐ろしくなる」と経済学者が言うほど簡単に行われます。

これが『借金』の仕組みです。

つまり、実際に世界に出回っている硬貨や紙幣を、はるかに超える大量のお金が存在していることになっていますね。

3、経済学は多くの人を信じ込ませるためのウソ

支配者のための筋書き。

著者バルファキスの主張は以下の通り。

「支配者には、自分たちの正当性を裏付けてくれる筋書きが必要になった。
そこで理論や公式を駆使して、市場社会が究極の自然秩序だという筋書きをつくりだした。」(本文引用)

このように、資本主義が、まるで大きな宗教や科学として扱われ、多くの人に基本的な倫理観を刷り込ませていることに対し、「最悪のやり方だ。」と述べています。

たしかに、経済学者のいう通り、資本主義は私たちに大きな豊かさをもたらします。しかしその半面、その豊かさの何倍もの貧困と、数え切れない借金と、人間の終わることのない欲望を作り続けています。

これに対し、バルファキスは、

「経済理論や数学を学べば学ぶほど、一流大学の専門家やテレビの経済評論家や銀行家や財務官僚がまったく見当はずれだってことがわかってきた。」(本文引用)
と言います。

バルファキスの名言

満足と不満の両方がなければ、本物の幸福を得ることはできない。

「満足と不満の両方がなければ、本物の幸福を得ることはできない。
世界と衝突し、葛藤を経験することで、人は成長する。
幸福のみの中の人間は成長期も発展も変身もできない。」
(本文引用)

欲を満たすことを目的とした『資本主義社会』をもう一度見つめ直す必要性を求めた言葉が、深く印象的でした。

このように、本書の最終章では、地球環境と生態系の破壊や、貧富の格差の現実に向き合う、作者の強い思いがまとめられています。

また、作者は未来に向けてこう言葉を残しています。

「君には、いまの怒りをそのまま持ち続けてほしい。でも賢く、戦略的に怒り続けてほしい。そして、機が熟したらそのときに、必要な行動をとってほしい。
この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿にするために。」(本文引用)

資本主義社会に少し詳しくなったあとに聞くと、この言葉に作者の嘘や偽りはないと感じました。本書はまさにこの言葉を理解するためにあり、最低限のリテラシーを身につけて本当の豊かさを学ぶための、最適な入門書です。

以上、紹介したのは本書のほんの一部分です。
もしあなたが、会社で働くことが当たり前だと思っていたら、今の生活がいかに豊かなのかを知らないのであれば、この一冊から学ぶことは多いはずです。

あなたがこの本を手に取ったとき、このページが少しばかり理解の手助けになればと思います。

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